変わっていく私を笑ってもいい。変わらない想いを覚えていて。

自分の中に辞書を作ることにしてる。不測の事態に陥った時、というと大袈裟だけど、日常の中のちょっとした出来事の時、開く辞書。中には、自分の好きな人や尊敬する人の名前が書いてあって、あの人だったらこういう時どうするか、が書いてあって、私はいつもそれを必死でめくる。頭の中には実際に、ページがめくられる絵が浮かんでいる。


例えば、パニックに陥った時は、中居中居、と唱えながら、ページをめくるのを想像する。旅先でつまらないと、大王、真面目な会話を避けたい時は、きゅーさん。最近加えたページは、相葉。人に優しくしたい時に開くことにしてる。
金曜日、仕事がもうすぐ終わる時間に上司に言われた一言に、凄く嫌な気持ちになった。中居中居、と無意識にページをめくると、適当に笑って受け流す、と書いてあった。それは出来なかった。相葉だ相葉、と思って開くと、一瞬傷付くけど顔は笑ってごまかす、と書いてあって、そうじゃないんだ、傷付きたくないんだ、と思った。色んなページをめくってみたけどほとんど笑い飛ばすと書いてあって、途方に暮れてパニック状態だった。そのうち帰る時間になったので、パニックのまま帰った。私は多分あの時、物凄く傷付いたんだと思う。傷付いて、悲しくて、それを相手に知らしめたかった。必死にページをめくったけど、そんな答えは見つからない。当たり前だ。傷付いた事を相手にアピールするだなんて、そんな真似する人はあたしの好きな人の中にはいない。
明日会社に行ったら、その上司に会わなきゃいけない。明日は朝から大吉先生を思おう、とさっき決めた。大人としてふるまって、だけど嫌な思いをした事は、笑い飛ばしながら相手に伝えてみよう。傷付いたんでもうやめてくださいね、と笑いながら念を押してみよう。辞書は自分の中にあるなりたい自分に近づくために作ったものだけど、最近はおかげで、イライラしたりすることは減ってた。頼り過ぎてたせいで、ページが見つからないとパニックに陥るだなんて。